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結月の妄想日記
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以下突発のロイエド小噺。
現代パラレルで国の研究機関の研究員みたいな感じ?
さすがに14歳も離れてないけどスキップで上がって特別に国家機関に配属になった20歳こそこそのエドさんと、だいたいそのままの年齢のロイさんで。

「やられたって?!」
ドアを蹴り飛ばす勢いで入室してきた金の少年は怒り心頭という言葉を体現していた。
「早いなぁ」
この世界、情報の回るのは本当に早い。
「なに余裕ぶっこいてんだよ!!アンタ3年前にもアイツにアイディア持っていかれたじゃねーか!」
「まあまあ。落ち着けエドワード」
「落ち着いてられっか!!今回は予算の付き方が一ケタ違うじゃねーか?!連名で論文出してたのにいつの間に自分の業績にしちまってんのあのヤロウっ つかなんでアンタ怒んねーの?!」
漆黒の瞳の青年は、怒り狂う金髪の年若い同僚の問いににっこりと微笑んだ。
「あの研究は理論が途中だった。だからあのままではいずれは行き詰る筈なんだ。その時に意見を求められても私は知らん。それに、」
蜂蜜の瞳に正面から向き合うと青年は言葉を続ける。
「そういう風に人を、研究を軽んじる人間には結局誰もついていかない。ひらめきやセンスは才能だ。でもこの世界、大きな研究ほど一人で成果を出すことは難しい。優秀な仲間に出会えることは、素晴らしい研究テーマと巡り合える事と等しく幸せなことなんだ」
その言葉の持つ意味を正確に受け取った金色の同僚は眉根を寄せた不機嫌そうな表情のままそれでも薄っすらと頬を染めた。
「ありがとう。キミが私の分まで怒ってくれるから助かるよ」
「…んだよそれ…オレはただ悔しいだけだ…」
ぽんっと金の頭に手を置くが、エドワードは下向き加減でぼそぼそと呟く。それを聞いた青年は幼さの残る顎のラインを指で辿り上向かせると唇で、ふてくされて尖る同僚のそれに軽く触れた。
それにね、と続ける漆黒の瞳が不穏な光を帯びる。
「同じテーマでもっと安価に、環境にも優しくできる方法を考えたんだ。半年あれば形になる。協力してくれるね?」
「それって…」
鳴り物入りで先ごろ発表された、ロイの連名の無い学会注目の論文。それを元にした国家プロジェクト。予算申請が通れば数ヵ月後には動き出す。が、注目されればされるほど、頓挫した時のダメージは大きい。行き詰まる、とロイは言った。来年の今頃プロジェクトの中心にはこの黒髪の男がいるのだろう。
「…アンタだけは敵に回したくねーな」
心底嫌そうな顔で告げれば。
「お褒めに預かり光栄だ」
頭も顔もとびきりの男が悠然と微笑んだ。

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